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福岡地方裁判所 昭和60年(行ウ)8号 判決 1987年11月24日

原告

福岡地区合同労働組合

右代表者代表執行委員

筒井修

原告補助参加人

黒瀬徹

被告

福岡県地方労働委員会

右代表者会長

倉増三雄

右指定代理人

青柳栄一

山本進平

中富倫彦

松岡博和

津村建次

被告訴訟参加人

大同印刷株式会社

右代表者代表取締役

伊藤茂樹

右訴訟代理人弁護士

大久保重信

山口定男

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用のうち補助参加によって生じた部分は原告補助参加人の負担とし、その余は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告が福岡労委昭和五八年(不)第九号不当労働行為救済申立事件について昭和六〇年二月二〇日付でなした命令を取り消す。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二請求原因

一  原告は被告に対し、昭和五八年三月一四日、被告訴訟参加人(以下「会社」という。)を被申立人として不当労働行為救済申立(以下「本件申立」という。)をしたところ、被告は同六〇年二月二〇日付をもって別紙命令書(略)のとおり本件訴訟の原告補助参加人黒瀬徹(以下「黒瀬」という。)の解雇撤回に関する申立ては却下し、その余の申立ては棄却する旨の命令(以下「本件命令」という。)を発した。

二  (審査手続の違法)

1  本件申立ての趣旨は、申立人組合の組合員である黒瀬に対する昭和五六年六月九日付解雇の撤回、原職復帰及び未払賃金の支払、右解雇に関する団体交渉応諾並びに謝罪文掲示を求めるというものであるところ、原告は、本件申立てにかかる審査手続(以下「本件審査手続」という。)の第一回調査期日(昭和五八年四月八日)において、黒瀬の入社(昭和五〇年六月)からその解雇(昭和五六年九月。以下「本件解雇」という。)を経て本件団体交渉拒否に至る経緯を六期に区分した立証計画を提示した。

2  これに対し、被告は、本件審査手続の第三回調査期日(昭和五八年七月一九日)において、<1>黒瀬の解雇とその後の団体交渉拒否が労働組合法(以下「労組法」という。)二七条二項の「継続する行為」にあたるか<2>会社の団体交渉拒否に正当な事由があるか、という点にポイントを絞って審理を進めることとし、解雇の当不当の審理の要否については、解雇から団体交渉までの経過の実体審理をした後に、改めて公益委員会議で検討する旨の見解を示したので、原告はこれに従い、主として本件解雇以降の状況について立証を進めていたところ、被告は本件審査手続の第一二回審問期日(昭和五九年七月三〇日)において、審問を集結した。

3  ところが、被告は、右のとおり本件解雇の当不当に関する原告の主張立証を大幅に制限しておきながら、本件命令の理由中第2の3の(7)において、「会社が黒瀬の解雇について正当事由ありと解するにつき相当性が認められるか否かは本件団体拒否の成否を判断するうえで密接不可分の関係にあると考えられる。」として本件解雇の当不当を先行して判断し、「会社が少なくとも昭和五四年二月の裁判上の和解以後は黒瀬の不正常勤務を争議行為とは認めず就業規則に違反するものと評価し、作業日報の不提出などその余の就業規則違反行為をも含め、同人解雇の正当事由たりうるとの認識に至ったのは本件審査における疎明の範囲内でみても無理からぬことであったと考えざるをえない。」とした上、さらにこの判断を前提に、団体交渉拒否をも正当としている。

4  したがって、本件審査手続は、労組法二七条一項の「申立人に対し、証拠を提出し、証人に反対尋問をする充分な機会が与えられなければならない。」との定めに反する、違法なものであるから、本件命令は取消しを免れない。

三  (事実認定及び判断の違法)

1  会社の不当労働行為意思に関する背景事情

黒瀬は、昭和五〇年六月、会社に雇用されたものであるが、会社における賃金、労働条件は当時から極めて劣悪だったため、署名を集める等してそれらの改善要求を行ったり、大同印刷労働組合(第一次)を結成するなどの活動を行い、また大同印刷労働組合が原告に改編されてからは原告組合員として活発に活動している。会社は右のような黒瀬及び原告の活動を嫌悪し、昭和五一年一月三日黒瀬を解雇(のちに撤回)したのをはじめ、大同印刷労働組合の結成及び原告への改編後は、団体交渉拒否、不利益取扱い、切り崩し等の不当労働行為を続けており、この間一貫して黒瀬の解雇を企図していたものである。

2  争議予告及び欠勤等の正当性

(一) 黒瀬は昭和五一年七月五日、当時の大同印刷労働組合の名において同年の春闘に関し無期限の時限波状ストに入ることを会社に対し文書で通告した。以後の黒瀬の遅刻・早退・欠勤は右春闘が解決しなかったためストが長期化したものであり、すべて右通告に基づくものである。また、黒瀬は同五二年七月二九日にもメモを会社に提出しているが、これは右通告を補完するものに過ぎない。

(二) 仮に右の通告がその方法において不適切であったとしても、会社の行ってきた不当労働行為と比較衡量すれば、右のような方法の不適切さをとりあげて通告としての効果を否定すべきではない。

(三) また、黒瀬の波状ストは昭和五一年から間断なく続いていたものであり、会社の方も「警告書」(就業規則上の懲戒処分には当たらない)を月一回程度発していたにとどまるものであるから長期の争議の中で会社は右の波状ストを黙認するに至ったものであり、この状態は一〇年余にわたる労使慣行として定着していた。

(四) 被告は本件命令において黒瀬が昭和五四年二月一九日の福岡地裁における裁判上の和解に違背したとするが、右和解はその第六項の平和的交渉期間の設定に主眼があったものというべきところ、会社は、右和解に基づく第一回の団体交渉(同年三月二日)において和解前の回答を下回るマイナス回答をするなど、同項の趣旨に沿った交渉を持とうとしなかったのであり、会社側においてこのような違背がある以上、仮に原告の側に右和解上の違背があったとしても、これを問責することはできない。

3  団体交渉拒否についての正当事由の不存在

(一) 解雇問題について

(1) 拒否前の最後の団体交渉(昭和五七年七月六日)においても、会社は解雇理由を充分説明していない。すなわち、原告が本件解雇が通常解雇、懲戒解雇のいずれに該当するのかを問い質したのに対し、会社側は「通常解雇ではあるが退職金は支払わない。」などと述べ、他方、専務取締役である伊藤茂樹(以下「専務」という。)が「ぼくは最初退職金が供託してあるものと思っとったから。」と発言するなど、一貫性合理性に欠ける説明しかなしえず、結局本件解雇の性質すら明らかにできなかったものである。

(2) 本件解雇当日に会社側から黒瀬に対し解雇理由を説明しようとしたことはない。このことは、解雇の翌日である昭和五六年六月九日以降、黒瀬が就労を求めて会社に赴き、会社代表取締役伊藤三郎(以下「社長」という。)らと話を交わしているときに何らの説明もなかったこと、同月一九日に原告からの団体交渉要求を拒んでいることからも明らかである。

(3) 解雇の性質以外にも、解雇手続、会社の損害と解雇処分との均衡、他の処分例との比較等解雇の合理性の有無、欠勤と組合活動及びストライキとの関係、退職金の算定などさらに協議すべき問題が残存している。

(二) 原告の団体交渉における対応について

(1) 原告は本件の団体交渉において春闘賃上げと一時金に関する協議を先行させるよう求めたが、これは解雇に関する協議を先行させると会社が右の事項に関する団体交渉を拒否するおそれが強かったからであり、また、右の事項は退職金額、雇用保険金額に影響するものであるから、解雇問題に先行して協議する必要が大きかったからである。

(2) 原告は一貫して解雇理由を文書で明示することを求めているが、これは、会社の主張があいまいで一貫性を欠くので、団体交渉の前提として、解雇理由を明確にさせようとしたものである。

(3) 被告の口頭勧告に基づく本件の団体交渉は春闘及び一時金に関してはそれぞれ僅かに二回開かれたに過ぎず、かつ、原告も協議を尽くした段階では交渉決裂を確認しており、原告の団体交渉における対応に責められるべき点はない。

(三) 本件解雇後の被告の口頭勧告に基づく団体交渉の内容は以下のとおりである。

(1) 第一回団体交渉(昭和五六年七月一四日)において、原告は<1>賃金を二〇万円にすること<2>完全週休二日制にすること<3>メーデー休暇を与えることを要求したが、会社は<2>、<3>については現行どおりとし、<1>については第二組合である現在の大同印刷労働組合との妥結内容に基づく回答(黒瀬の賃上げ七二五〇円)をしたのみであった。これに対して原告は、賃金について二次回答を要求し、あわせて黒瀬の査定についての説明を求めたが、会社は第二組合との妥結を盾にとって全く譲歩しようとせず、また、査定に関する資料を全く持参していなかったため、一時団体交渉を中断してこれをとりに行くなど、その団体交渉に臨む態度は決して誠実なものとはいえなかった。

(2) 第二回団体交渉(昭和五六年八月二一日)において、原告は、昭和五一年の争議開始以来の毎年の春闘及びその他の労働条件に関する問題はすべて未解決であり、その間の賃金等は仮受けしたに過ぎず、被告の本件に関する口頭勧告はこれらについての団体交渉をも含む趣旨であると主張したが、会社はこれらはすべて解決ずみであるとし、また、昭和五六年の賃上げについても二次回答の意思のないことを重ねて明らかにした。また、黒瀬の査定に関し、遅刻・早退・欠勤は一切ストライキとは認めていないことも明らかにした。さらに、会社は、原告が賃上げの根拠となる収支説明を求めたのに対しても、他の会社で説明をした例があるか調べよなどとして説明を拒んだ。

(3) 第三回団体交渉(昭和五七年三月三〇日)では、昭和五六年夏の一時金に関し、会社は、支給当日の在籍者に限って支給することになっており、黒瀬の解雇によって会社従業員に原告組合員がいなくなった以上、原告と団体交渉する必要はないとの見解を繰り返した。また、会社は第二組合との間の協定に在籍者に限るとの条項がある旨主張したが、協定書の原本は持参しておらず、第二組合の印のない協定書のコピーを提示したに過ぎなかった。右のとおり一時金について議論が尽くされていないにもかかわらず会社は解雇問題に強引に入ろうとするなど、ここでも極めて不誠実な対応をみせた。

(4) 第四回団体交渉(昭和五七年五月七日)において、まず、前回問題となった協定書について原告が譲歩し、コピーの提示をもって協定書の提示があったものとして、一時金交渉の決裂を確認した。次いで、黒瀬の解雇に関する交渉に入ったが、原告が、重要事項については労使双方において文書を出すという従来の慣行に従い、文書による解雇理由の明示を求めたのに対し、会社が口頭回答に固執したため進展がみられず、結局会社が後日文書で回答することを約したのみで終了した。

(5) 第五回団体交渉(昭和五七年七月六日)においては、会社は、あらかじめ原告に対し、黒瀬の解雇は通常解雇であるとする昭和五七年五月二五日付「黒瀬君解雇について」と題する文書を示していたにもかかわらず、退職金の支払いにつき社長がこれを拒否するような発言をする一方、専務が、退職金は供託してあると思っていた旨発言するなどの混乱をみせ、のちに、退職金は支払わないとの見解を会社としてまとめたものの、通常解雇であることとの整合性、退職金規定の適条などについてはついに合理的な説明がされないままであった。

四  申立期間について

1  本件申立は、黒瀬が解雇された昭和五六年六月八日から一年以上経過した昭和五八年三月一四日になされた。しかし、右解雇は昭和五六年六月一九日及び昭和五七年九月一〇日の団体交渉拒否と同一の不当労働行為意思に基づくものであり、これらは一括して労組法二七条二項にいう「継続する行為」に該当するので、本件申立は適法である。

2  労組法二七条二項の「継続する行為」の解釈については、申立のあった継続する行為のうち申立前一年内のものについて不当労働行為の認定ができない場合であっても、それ以前のものについて不当労働行為の認定ができるならば、これに対し救済命令を発しうるものと解すべきである。これを本件についてみると、仮に昭和五七年九月一〇日の団体交渉拒否が不当労働行為にあたるとの認定ができないとしても、同五六年六月一九日の団体交渉拒否が不当労働行為と認定され、かつ、これが解雇と昭和五七年の団体交渉拒否の両方と継続する行為と認定されることによって、解雇と昭和五七年の団体交渉拒否とは継続する行為と認められ、結局解雇についても申立期間徒過の違法はないことになるものと解すべきである。

3  また、労組法二七条二項の申立期間については、時間の経過による労使関係の安定を重視するという同項の趣旨に照らし、時効中断の規定を準用すべきである。これを本件についてみると、原告が被告に対し本件の解雇に関する団体交渉応諾のあっせんを申請した昭和五六年六月二二日に申立期間の通行は中断しているというべきである。

五  本件命令の「認定した事実」に対する認否

1  1の(1)及び(2)の各事実はいずれも認める。

2(一)  2の(1)ないし(7)及び(11)、(13)ないし(15)、(18)、(19)の各事実はいずれも認める。

(二)  2の(8)の事実中、「これに対し黒瀬は」以下の事実は否認し、その余の事実は認める。

(三)  2の(9)の事実中、「大声を出して」から「継続して行った。」までの事実は否認し、「社長は」以下の事実は不知、その余の事実は認める。

(四)  2の(10)の事実中「メガネの弁償要求のため」との事実は否認し、その余の事実は認める。

(五)  2の(12)の事実中、会社が「黒瀬の欠勤は自己都合によるものではないので休職扱いとはしない」と言ったとの事実は否認し、その余の事実は認める。

(六)  2の(16)の事実中筒井が社長にいわゆるトップ交渉を申し入れ、社長もこれを了承したとの事実は否認し、その余の事実は認める。

(七)  2の(17)の事実中、交渉内容は否認し、その余の事実は認める。

(八)  2の(20)の事実中、「また組合が」以下の事実は否認し、その余の事実は認める。

3(一)  3の(3)、(4)、(7)ないし(11)、(14)、(16)ないし(20)の各事実はいずれも認める。

(二)  3の(5)、(6)、(12)及び(15)の各事実中、それぞれ記載の日に団体交渉が開かれた事実は認め、その内容は否認する。

(三)  3の(1)の事実中、「黒瀬は解雇通知書を受取ると」から「その理由を説明することもできなかった。」までの事実は否認し、その余の事実は認める。

(四)  3の(2)の事実中、「宣伝カーを使って」との事実は否認し、その余の事実は認める。

六  よって原告は、本件命令の取消しを求める。

第三請求原因に対する被告の認否及び反論

(認否)

一  請求原因一の事実は認める。

二  同二につき、1、2の各事実は認めるが、3の事実は否認し、4は争う。

三1  同三1の事実中、黒瀬が会社に雇用された事実、大同印刷労働組合を結成し、同組合がのちに原告に改編された事実及び会社が昭和五一年に黒瀬を解雇し、のちに撤回した事実はそれぞれ認め、その余の事実は不知。

2(一)  同三2(一)の事実は不知。

(二)  同三2(二)は争う。

(三)  同三2(二)の事実中、会社が「警告書」を発していたとの事実は不知、その余は争う。

(四)  同三2(四)の事実中、原告主張の和解が成立した事実は認め、会社がこれに違背したとの点は争い、その余の事実は不知。

3(一)(1) 同三3(一)(1)の事実中専務を含む会社側の発言内容は認め、その余は争う。

(2) 同三3(一)(2)の事実中、黒瀬が就労を求めて会社に赴いた事実、会社が団体交渉を拒んだ事実は認め、黒瀬の就労要求にあたり会社が解雇理由を説明しなかったとの点は不知、その余は争う。会社は、昭和五六年六月八日に解雇通告書を手渡したときに説明しようとしている。

(3) 同三3(一)(3)は争う。

(二)(1) 同三3(二)(1)の事実中、原告が春闘と一時金の問題を先行させるよう求めたとの事実は認め、その余は争う。

(2) 同三3(二)(2)は争う。

(3) 同三3(二)(3)の事実中、団体交渉の回数は認め、その余は争う。

(三)  同三3(三)は争う。団体交渉の内容は、本件命令書理由中「第1 認定した事実」記載のとおりである。

(反論)

一  審査手続について

1 原告が被告に対し本件申立をしたのは、黒瀬の解雇から一年以上を経過した昭和五八年三月一四日であった。そこで被告は、本件審査手続について、まず解雇に関する団体交渉拒否の当否及び団体交渉拒否と解雇との継続性について審理を進め、その立証が終了した段階で継続性ありとの結論が得られた場合に解雇自体について審理を行うが、そうでないときはその時点で終局的命令を発することもありうるとの審理方針を決定し、原告の同意を得ている。また、本件審問手続における証人調べの終結にあたり、原告に対しても主張立証を尽くしたかを質しており、原告はこれに対し何らの異議もとどめていない。

2 被告の本件審査手続における審理の指揮は、証拠調べにつきその必要性の有無を判断してこれを制限することができるという被告の権限(労働委員会規則三三条五項、四〇条一一項)に基づき、団体交渉拒否の正当事由の存否の判断に必要な限度に立証を制限したものであって、違法はない。なお、被告は、本件命令において「会社が………黒瀬の不正常勤務を………同人解雇の正当事由たりうるとの認識に至ったのは本件審査における疎明の範囲内でみても無理からぬことであったと考えざるを得ない。」との判断を示したにとどまるのであって、解雇の当不当につき直接に判断を下してはいない。すなわち、被告は右1のとおり、団体交渉拒否の正当事由の存否を判断するのに必要な限度において、会社が黒瀬の解雇に正当事由があると考えたことの相当性を判断したにすぎないのであり、また、右必要な限度内の事実の立証を制限したことはないのであるから、本件審査手続に原告主張のような瑕疵はない。

二  事実認定及び法律判断について

本件命令の理由は別紙命令書理由欄のとおりであり、その認定・判断は正当である。

第四請求原因に対する被告参加人の認否及び反論

(認否)

一  請求原因一の事実は認める。

二  同二につき、1、2の各事実は認めるが、3の事実は否認し、4は争う。

三1  同三1の事実中、黒瀬が雇用された事実、大同印刷労働組合を結成し、これがのちに原告に改編されている事実、会社が昭和五一年に黒瀬を解雇し、のちに撤回している事実はそれぞれ認め、黒瀬の改善要求等の活動の事実は不知、その余の事実は否認する。

2(一)  同三2(一)及び(四)の各事実は否認する。

(二)  同三2(二)及び(三)は争う。

3(一)(1) 同三3(一)(1)の事実中、専務を含む会社側の発言内容は認め、その余は争う。

(2) 同三3(一)(2)の事実中、黒瀬が就労を求めて会社に赴いた事実、会社が団体交渉を拒んだ事実はいずれも認め、その余は争う。会社は昭和五六年六月八日に解雇通告書を手渡したときに説明しようとしている。

(3) 同三3(一)(3)は争う。

(二)(1)  同三3(二)(1)の事実中、原告が春闘と一時金の問題を先行させるよう求めたとの事実は認め、その余は争う。

(2) 同三3(二)(2)、(3)はいずれも争う。

(三)  同三3(三)は争う。団体交渉の内容は本件命令書理由中「第1 認定した事実」記載のとおりである。

(反論)

一  労組法二七条二項にいう「継続する行為」はある程度の長期間にわたる昇給昇格等の差別あるいはそれに類似する一連の行為に限られるのであって、解雇の如き一回限りの行為についてこのことを論じる余地はない。

二1  黒瀬の解雇は、黒瀬が昭和五一年以降ストライキと称して無断遅刻・早退・欠勤等を繰り返したため企業防衛上やむをえずなしたもので、もとより正当である。

2  会社は本件命令において認定のとおり誠実に団体交渉に応じているほか、解雇に先立って三回団体交渉を行い、その中で黒瀬の退職を勧奨するとともに応じないときは解雇する旨主張しており、以上を総合すれば解雇について協議が尽くされたこと明らかである。

3  原告が、解雇後の団体交渉において春闘・一時金に関する論議を先行させ、あるいは文書による回答に固執したのはいずれも交渉を長期化させようとの戦術にほかならず、原告がこのような不誠実な対応をする以上会社による団体交渉打切りはもとより正当である。

第三証拠(略)

理由

一  請求原因一の事実は訴訟参加人たる会社を含む当事者間に争いがない。

二  解雇撤回等の申立について

本件申立は、本件解雇から一年を経過した後になされたものであるところ、原告は、本件解雇と(その撤回を求める)その後の団体交渉の拒否は、同一の不当労働行為意思に基づくものであり、これらは一括して労組法二七条二項にいう「継続する行為」に該当するので、本件解雇撤回等の申立も同項の期間制限に抵触しないと解すべきであるのに、これを看過して本件申立のうち本件解雇撤回等の申立を却下した被告の判断は違法である旨主張する。

しかし、解雇は、当該労働者を職場から排除しようとする使用者の意思を終局的に実現する一回的な行為であり、労働組合としても容易にこれを個別に救済の対象とし得るものであるから、解雇とその後の使用者の行為を、全体として同条項にいう「継続する行為」に該当するものとみることはできない。

したがって、被告が、本件解雇撤回等の申立を申立期間徒過の理由により却下したのは、正当ということができる。

三  団体交渉応諾の申立について

1  会社が原告に対し、昭和五七年九月一〇日、既に五回の団体交渉を行ない、双方の意見も出つくしたので今後の団体交渉には応じられない旨の文書による申し入れを行ない、以後原告による団体交渉の申入れを拒否していること(別紙命令書理由欄の「第1認定した事実」のうち、3の(17)ないし(20)記載の事実)は原被告及び訴訟参加人たる会社間に争いがない。

2  そこで、右団体交渉拒否が不当労働行為に該当するか否かを判断するに当たり、まず、右団体交渉拒否に至る事実関係を検討するに、別紙命令書理由欄の「第1認定した事実」のうち、1記載の事実、同2(20)記載の事実中、原告が「黒瀬に就業規則を守らせるようにする。そのことを文書で出してもよい。」と申入れ、会社がこれを拒んだとの事実を除くその余の事実、同3(2)記載の事実中、原告が宣伝カーを使ったとの事実を除くその余の事実、同3(3)、(4)、(7)ないし(11)、(14)及び(16)記載の各事実はいずれも原被告及び訴訟参加人たる会社間に争いがなく、右各事実に、(証拠略)を総合すると、以下の事実が認められ、この認定を左右するに足りる証拠はない。

(一)  黒瀬の解雇

会社は昭和五六年六月九日黒瀬を解雇した。解雇の通告は、前日である昭和五六年六月八日、会社事務所において専務が黒瀬に対し、会社就業規則一二条(解雇)五号(勤務成績不良で就業に適しないと認めるとき)及び七号(その他前各号に準ずるやむを得ない事由がある場合)に基づき同月九日付で解雇する旨の解雇通告書を手渡すことによってなされた。このとき専務は解雇予告手当を用意していたが、黒瀬はこれを受けとることを拒み、すぐに事務所から立ち去った。会社は、同年七月六日、右予告手当を福岡法務局に供託した。なお、黒瀬は右解雇当時会社内における唯一の原告組合員であった。

(二)  被告の団体交渉応諾に関する口頭勧告

組合は昭和五六年六月一五日会社に対して、黒瀬の解雇について団体交渉の申入れを行なったが、会社は同月一九日組合に対し「会社は同年四月二二日及び五月二九日の団体交渉でその主張した方針に沿って解雇通告したもので、本来ならば懲戒解雇に当たるところ、本人の将来を考慮して普通解雇にしたものであり、今後団体交渉に応じる意思はない。」旨回答した。そこで組合は、同年六月二二日被告に対し、黒瀬の解雇撤回のほか賃上げ、一時金問題についての団体交渉応諾のあっせん申請をし、被告のあっせん員会は同月二九日原告と会社双方に対し右各項目について早急に団体交渉を開催すべき旨口頭勧告を行ない、双方これを受諾した。

(三)  右口頭勧告後の五回にわたる団体交渉の経過

(1) 第一回団体交渉

昭和五六年六月二九日の被告あっせん員会の右口頭勧告後第一回の団体交渉が同年七月一四日に開かれ、原告は<1>基本給を二〇万円にすること<2>メーデー休暇を与えること<3>完全週休二日制にすること、の三点を要求した。これ対し会社は、<1>大同印刷労働組合と一人平均一万円で妥結したので、この妥結内容に基づき、黒瀬については七二五〇円の賃上げをするが、それ以上の二次回答をするつもりはない<2>従来通り、事前の届出をすれば一名に限り、無給出勤扱いとする<3>週休二日制についても現行どおりとする、との回答を示し、さらに昭和五六年夏の一時金についても、支給当日の在籍者を対象とする慣行があり、これを変更するつもりはないと主張した。この団体交渉の途中、原告が賃上げ額の算定の根拠となる資料の提示を求めたところ、会社側がこれを持参していなかったため、専務が自宅まで取りに帰り、その間交渉は中断した。再開後、会社は右資料に基づき、黒瀬の出勤査定を含む賃上げ額算定の根拠を示したところ、原告は賃上げ額及び賃上げ原資の再検討を要求したが、会社はその必要はないとしてこれを拒み、また、次回団体交渉に応じるか否かについても留保したままで交渉は終了した。

(2) 第二回団体交渉

口頭勧告後の第二回団体交渉は昭和五六年八月二一日開かれたが、ここで原告は<1>賃上げ額算定の基礎となった出勤査定に関し、会社は黒瀬の遅刻・早退・欠勤を一切ストライキと認めないつもりかと質問し、<2>昭和五一年以降の各春闘その他の労働条件に関する諸問題はすべて未解決であり、これまで受領した賃金等についてもすべて仮払いと考えている旨主張し、さらに<3>原告が団体交渉応諾のあっせん申請をしたのは賃上げ率の引上げのためであり、その申請に対応する口頭勧告の趣旨からしても、会社は二次回答をすべきであって、原告としてはいくらかでも上積みがあればこの場で妥結してもよい旨主張した。これに対し、会社は、<1>黒瀬の遅刻等については事前通告がないのですべてストライキとは認めない<2>昭和五一年から同五五年までの春闘等についてはすべて解決ずみであり、賃金等は仮払いではない、<3>口頭勧告は会社に対し団体交渉応諾を求めたにとどまり、増額回答までをも要請したものではない、と回答した。原告は賃上げに関する資料として会社の決算書の提示を要求したが、会社はこれを拒否した。

(3) 第三回団体交渉

昭和五七年三月三〇日に開かれた口頭勧告後の第三回団体交渉において、原告は、会社が原告に対して示した団体交渉の議題を解雇問題に限定し、あと一回に限り行いたい旨の昭和五六年九月一九日付文書の趣旨について説明を求めた。これに対し会社は、回数には固執しないが、会社としてはもともと団体交渉で解雇について説明することだけを予定していた旨答えた。次いで昭和五六年夏の一時金に関し、会社は、支給当日の在籍者に限るとの見解を再度明らかにした上で、このことは労使慣行として確立しており、また、大同印刷労働組合とも昭和五二年八月三日付でその旨の協定書を交わしていると説明した。これに対し、原告は右協定書の提示を求めたが、会社が原本を持参していなかったため、原告は、原本の提示を受ければ一時金問題について交渉決裂を確認し、黒瀬の解雇問題についての協議に入る旨述べた。そこで会社は、とりあえず解雇に関する説明を行おうとしたが、原告組合員らが大声をあげるなどしてこれを妨害したためできなかった。

(4) 第四回団体交渉

昭和五七年五月七日に開かれた口頭勧告後の第四回団体交渉において、会社は、まず、原告に対し、前回の団体交渉で問題となった協定書のコピーを示したところ原告はこれをもって一時金問題についての交渉が決裂したことを確認し、次いで黒瀬の解雇理由を文書で示すことを会社側に要求した。これに対し、会社は、解雇通告書に一応の理由の記載があるので、具体的理由については、まず口頭で説明した上で、不明の個所があれば更に文書で釈明する旨主張し、口頭での説明を試みようとしたが、原告組合員らが大声を出してこれを妨害したため、交渉はそれ以上進展せず、結局会社が後日文書で解雇理由を示すことを約して、この日の団体交渉を終えた。

(5) 第五回団体交渉

昭和五七年五月二五日、会社は原告に対し、別紙命令書第1の3の(14)記載の「黒瀬君解雇について」と題する文書を交付したが、同年七月六日に開かれた口頭勧告後の第五回の団体交渉において、原告は、右文書で黒瀬の解雇が普通解雇であるとされていることを受けて、会社に退職金支払いの意思があるか否かを問い質した。これに対して会社側は、はじめ、社長の伊藤三郎は支払わないと述べ、他方、専務は、退職金は供託してあるものと思っていたというなど、混乱した対応をみせていたが、最終的には退職金は黒瀬が一度その受領を拒んでいるので、もはや支払うべきでない、との会社見解をまとめてその旨回答した。原告は本件解雇が会社主張のとおりの通常解雇であるなら、退職金規定二条(支給条件)四号(会社の都合により解雇したとき)に該当し、かつ、同規定三条(不支給)各号のいずれにも当たらないから会社は当然退職金を支払うべきことになる筈であるのに、会社においてこれを拒むとすれば、本件解雇はいまだその性質が明らかになっていないことになる、と主張したが、会社は、会社都合による解雇は企業合理化等会社の一方的な都合で解雇するものを指し、本件解雇はこれにあてはまらないとし、かつ、実質的には黒瀬は右退職金規定三条一ないし三号の不支給条項に該当するものであると主張した。また、会社は本件解雇後の団体交渉における原告の対応を引き延ばし戦術と受けとめていることを表明した。結局、原告は会社に対し退職金不払の理由を、会社は原告に対しその質問事項を、それぞれ文書で提出するよう要求してこの日の団体交渉を終えた。

(四)  会社による団体交渉打切りの通告

組合はその後昭和五七年七月一二日会社に対し質問状を送って本件解雇が普通解雇・懲戒解雇、会社都合解雇・自己都合退職のいずれに当たるか、また退職金不支給の根拠等について文書による回答を早急に行なうよう要求した。これに対し会社は同年九月一〇日右質問状に対し右解雇は普通解雇であり会社都合による解雇であること、また退職金を支払うので同月末日までに受領するよう文書で回答し、更に同日付の別文書により組合に対し「労働委員会の勧告に基づき五回の団交を行ったが、双方の意見は完全に出つくしたので、今後更に団交を重ねたとしても無意味であると判断されます。したがって今後の団交には応じられない。」と通告し、以後は前記1のとおり団体交渉に応じない態度を執っている。

3  以上の事実に基づいて、昭和五七年九月一〇日会社が団体交渉打切りを通告し、以来団体交渉を拒んでいることに正当事由がなく、したがって不当労働行為に該当するか否かについて判断する。

(一)  会社は被告の昭和五六年六月二九日の口頭勧告受諾後、同年七月一四日から昭和五七年七月六日までの約一年間に五回に亘り原告との間で団体交渉を行なって来たが、組合は、何故か最重要かつ緊急議題である筈の黒瀬の本件解雇問題を、昭和五六年七月一四日の第一回団体交渉、同年八月二一日の第二回団体交渉においては全く議題にせず、更に昭和五七年三月三〇日の第三回団体交渉においても本格的な議題とすることなく本件解雇とは直接係わりのない昭和五六年の賃上げ、夏期一時金問題、メーデー休暇、週休二日制等のいわば副次的ともいうべき問題の交渉に終始し、同年五月七日の第四回団体交渉から漸く本件解雇問題を交渉の中心議題とするに至っている。

もっとも、被告の前記口頭勧告は、本件解雇のほか賃上げ、一時金問題についての団体交渉の応諾をも要請しており、また、原告は、会社の従前の団体交渉における態度に照らし、解雇問題を先行させると、会社が他の問題について団体交渉を拒むおそれが強く、また、賃上げは退職金等に影響するものであるから、解雇問題に先行して協議する必要があった旨主張する。しかし、そもそも解雇問題は、従業員としての身分の得喪に係わる、それ自体最も重要な問題であるばかりでなく、本件解雇当時の会社における原告所属の組合員は黒瀬唯一人であり、また労働委員会への救済申立にも一年の期間制限が存することを考えると、同人の本件解雇問題が、賃上げやメーデー休暇・週休二日制等の問題よりは遙かにその解決に緊急を要するいわば焦眉の課題であったことは明白である。そのうえ右賃上げ等については、原告としては解雇問題に関する協議を遂げたのちにいつでも必要な限りにおいて団体交渉を求めることができ、会社がこれを拒めば、その時点においてこれを不当労働行為として争えば足りるのであって、所詮、原告の右主張は詭弁にすぎず、原告のこのような態度こそ、団体交渉におけるその誠実さを疑わしめるものと言わざるを得ない。

(二)  本件解雇問題が団体交渉の対象となった後においても、原告は、例えば第三、四回団体交渉においては文書による解雇理由の説明を執拗に要求し、組合員をして会社の口頭説明を妨害せしめ、更に、第五回団体交渉においては、本件解雇が通常解雇、懲戒解雇のいずれに該当するのかという解雇の性質論に固執している。しかし、文書による回答を求めること自体の必要性はさておき、口頭による説明を拒む合理的理由は全く見出せないし、また、本件団体交渉の経緯に照らせば、会社が本件解雇が法的には通常解雇に該当すると主張していることは明らかであるばかりでなく、最も重要な争点であるはずの解雇理由が、黒瀬の遅刻・早退・欠勤等の就業態度にあることも、第二回団体交渉の内容に照らし、すでに明らかになっていると認められるのである。

従って、原告の右の行動も団体交渉における誠実な態度とはとうてい言うことができない。

(三)  以上を総合すれば、会社としては右五回の団体交渉を行ったことにより、すでに応諾義務を尽くしたものというべく、仮に未協議の事項が残ったとしても、それは右のような原告の不誠実な態度を考えれば、やむを得ない仕儀と言わざるを得ない。従って、会社が昭和五七年九月一〇日に団体交渉の打切りを通告し、以来原告の団交要求に応じていないことについてはそれなりに是認し得る事由があるので、不当労働行為には該当しないというべきである。

4  会社の昭和五六年九月一九日付文書について

なお、原告は、会社が前述のとおり昭和五六年九月一九日付文書において「次回議題は解雇問題のみとし、一回限り行いたい。」旨申し入れたことについて、これが団体交渉拒否として不当労働行為を構成する旨主張するけれども、不当労働行為に該当する団体交渉拒否とは、特定の時点以後正当な理由なく団体交渉に応じないこと(団体交渉の外形は整えているものの誠実に交渉しない場合も含む。)をいうのであるから、右主張は、会社が団体交渉を拒否した時点が、先に認定した昭和五七年九月一〇日でなくそれよりも前であることを指摘するという主張の域を出ないものである許りでなく、前記認定事実によれば、会社が右文書による申入れをした後も引続き団体交渉応諾義務を尽くしたことは明らかであるから、右主張は理由がない。

5  よって、本件解雇に関する団体交渉についてのこの点に関する被告の判断も正当ということができる。

四  審査手続の違法の有無について

1  被告が本件申立についての審問手続において、原告に対しその要求する本件解雇自体の不当性についての立証を制限したまま右手続を終結したことは被告もこれを自認するところであり、原告はこの点を捉えて本件命令が労組法二七条所定の手続違背の瑕疵を帯有している旨主張する。

たしかに、法律上労働委員会は審問手続において使用者及び申立人に対し証拠を提出し証人に反対尋問をする充分な機会を与えなければならないことは原告の主張するとおりである(労組法二七条一項)が、しかし、だからといって、労働委員会は当事者の立証を無制限に許容しなければならないものではなく、労働委員会としては、当該事案や立証事項に応じ、立証の必要性の有無程度を勘案して証拠申出の許否等を決することができるものである(労働委員会規則三三条五項、四〇条一一項参照)。これを本件についてみるに、前記二で判示したとおり、右申立は本件解雇後一年の制限期間経過後の不適法な申立として却下を免れないものである以上、客観的にも本件解雇自体の当不当について審理を遂げる必要は全くなかったのであるから、被告が審問手続においてこの点の立証を制限したことは結局のところ、正鵠を得た措置であったというべく、従って、右立証制限は本件命令を取消すべき手続上の瑕疵には該当しないというべきである。

2  もっとも、請求原因二3の事実についてみるに、本件命令書によれば、被告は本件命令において、黒瀬の解雇以前の事実関係についても詳細な認定をした上、「会社が………黒瀬の不正常勤務を………同人解雇の正当事由たりうるとの認識に至ったのは本件審査における疎明の範囲内でみても無理からぬことであったと考えざるを得ない。」旨の説示をしていることが認められる。しかしながら、前記三において判断したとおり、本件解雇の当否またはこれについての会社の認識の相当性は、会社が団体交渉応諾義務を尽くしたとする前記結論を左右するものではないから、被告による前記の認定及び説示は、原告に対しこの点についての立証を制限したこととの関係で妥当を欠くものであることは否定し得ないとしても、結局、無用のものに過ぎず、このことをもって、被告のした立証制限が本件命令を取り消さなければならないほどの手続上の瑕疵に当たるということはできない。

そして他に本件命令を取消すべき手続上の瑕疵は見当たらない。

五  以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法八九条、九四条後段を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 藤浦照生 裁判官 倉吉敬 裁判官 久保田浩史)

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